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クローバーのそよ風【84】

先日、ある会議に参加しました。不登校児童生徒の対応のハンドブック作成に関わるものでしたが、その内容は私たち当事者側からすると、所どころに違和感があるものでした。そもそも2016年12月に成立した普通教育機会確保法が前提にあって作成されるものであるはずなのに、まったくその法律の成り立ちや背景が理解されていないような内容になっていたからです。確保法は、学校に行けない・行かないことを選択した子どもの教育機会をどのように作っていくかという法律ですので、学校復帰を必ずしも前提にしていないものです。

私たちのところには、本人や保護者の気持ちを想像できない教員から学校復帰を強要されて追いつめられ、苦しんでいる親子が多く相談に訪れています。その現状があるのに、学校復帰だけを強調するかのような独自の注釈を法律につけようとしているのです。法律の主旨を捻じ曲げるようなことは、やめていただきたいと心の底から強く思っています。

子どもの意思を十分に尊重し、多様な学びの選択肢を増やし、国・地方公共団体・民間団体とその他関係者が連携をしながら、安心して子どもが社会的自立を目指せるような山形県を作っていくべきです。

 

また他にも、不登校の原因が無気力とかゲーム依存であるというような内容にも違和感がありました。最初から無気力な子どもなどいないですし、ゲームに依存しなければならないことがあったから、結果的にそうなっているだけです。原因と結果が逆なのです。そうならざるを得なかった子どもの置かれた環境の苦しさをわかろうと、心に寄り添うことの方が先なのではないでしょうか。

精神障害だの発達障害だのとレッテルを貼り、子どもの心を見もせずに、何でもかんでも医療につなぎ、命の浮き輪であるゲームやスマホを一方的に取り上げたりすることは意味がないどころか、もっと子どもを追いつめることであると、親の会をやってきた私たちは知っています。

あとは、製作者の判断を待ちたいと思います。

 

私たちのところにつながっている子どもたちは、感受性豊かで、心優しく、人の痛みがわかり、お互いの違いを認め合える子ばかりです。

学校という教育システムが合わないだけで、なぜこんなに自分を責め、苦しい思いをしなければならないのでしょうか。

 

全国の不登校児童生徒数が発表されましたが、少子化で子どもが減っているのに過去最多の19万6127人です。

これまでの当事者置き去りの不登校支援のあり方に間違いがあったということの現れではないでしょうか。

この結果を私たち大人が真剣に受け止め、「児童生徒の最善の利益を最優先」 に、これからの子どもたちとの関わりを一緒に考えていきたいものです。